定例講座(12月)イントロダクション 【パレスチナ問題 超入門】

こんにちは、外苑ソーシャルアカデミーの山田です。第2回定例講座のリベラルアーツ講座ではパレスチナ問題を取り上げます、いま、世界の中で最も注目を浴びていることは、間違いなくこの問題です。私たちはテレビやネットニュースなどで断片的にしか見ることができませんので、生々しいリアルはまだまだ伝わっていませんが、ガザで起きているのは本当に深刻な無差別殺戮と、インフラの破壊による生命の危機にほかなりません。パレスチナ人たちは檻に囲まれたような場所から出ることもできず、そこにミサイルが撃ち込まれる。物理的に逃げ出すことができないところにミサイルの集中砲火を行っていることが、通常の内戦以上に非人道的だと問題視されているのです。

知識を得るだけでなく、リアルを見つめることの大切さ

イスラエルはハマスを殲滅することを目的としていますが、実態は囲い込んでのジェノサイド(すべての無垢な市民、女性、子どもを巻き込む無差別殺戮)と言わざるをえません。人命や建物だけでなく、インフラも破壊され、病院は機能を失い、日常生活のライフラインが途切れ、衛生状態も劣悪になっています。連日にわたり、絶え間ない銃声や砲弾の爆発音を聴き続けている人々は、心を病み、苦しみ悶えています。その苦しみの中で家族や親戚、友人が殺されていく。これがパレスチナで今まさに起きていることです。

こうした問題を目にしたときに、私たちはそこにいる人々の状況、生活の実態、晒されている危険、心の苦痛などを「いかにリアルに捉えられるか」ということが死活的に重要です。

イスラエルは1948年にできた新しい国で、人口も900万人ほどにすぎません。しかしそんな小さな国が、ガザ地区に押し込められた人たちを攻撃し続けています。

今回は、ハマスがゲリラ的にイスラエルを襲ったことで戦闘が始まりました。これはたしかに周到に計画された恐ろしい攻撃でした。しかし、その後を見てくると、イスラエルは最新兵器を使って100倍返し以上の報復をしているように見えます。たとえ短い休戦をしても、イスラエルの市民感情はハマスを許さない、徹底的に殲滅するのだと考えている人が多いように見受けられます。でも殺されるのはハマスの構成員だけではないのです。

武力の差はイスラエルが圧倒しています。ハマスもこうなることが分からないわけではないのに、なぜ攻撃を仕掛けたのか。

イスラエルは国際法を無視してパレスチナの無実の市民を巻き添えにしてまで、なぜガザを焦土にしようとするのか。

そこには単なる宗教対立では片づけられない複雑な歴史の経緯と、人間の感情、特に信念に基づく物語の対立があるのです。彼らが絶対的な信念にしていることは何なのか。なぜ、どこからこんな問題が起きたのか。人間の信念に対して私たちはどう接すればいいのか。今後の人道支援はどうあるべきか。この講座では問題の核心にグッと迫れるように考えていきたいと思っています。

この講座でおこなうこと

もちろん、これは簡単に片づくような話ではありません。しかしパレスチナ問題に限らず、様々な問題を見るときに、いかにリアルに見つめることができるかという視線と、そこにいる人々を考える共感力、そして問題の本質に迫ろうとする態度こそ、私たちがこれからの時代を生きるうえで、行動するために真に必要な力になっていきます。

今回の講座では、まずパレスチナ問題がどうして起きたのか、宗教と民族の歴史、大国の思惑、両民族の信じている世界観などについて、誰にでもわかるようにできるだけシンプルにひもといて説明します。ここまでは前談です。

次に、しばしば紛争や恨みの根になっている原理主義や信念の問題に踏み込みます。問題の本丸ですね。たとえばなぜ原理主義者は自爆テロを起こすのか。彼らの思考や世界観はどうなっているのか。テロリストに漠然とした闇を感じている人も多いと思いますが、「なるほど、そういう風に彼らは考えるのね!」というところを納得できるように進めます。

さあ、そこから先が難題です。グローバル化の時代には、様々な信念や世界観を持つ人々が日本にも続々と入ってきます。これは結構な荒波です。私たちはその流れにどう向き合えばいいのか、こうした本質的な思考に挑みませんか?

私たちがパレスチナ問題を見つめる意味

パレスチナ問題もウクライナ問題も、平和な世界を志向してきた各国の努力の積み重ねや、21世紀の人命人権の価値観からすれば、けっして見過ごしてはいけない問題です。しかし、これらの問題が今の日本人の話題にどのぐらいのぼっているでしょうか。小中高等学校でもほとんど語られない、職場でも話題にならない、友人と会っても語られることはほとんどないのではないでしょうか。私たちの身の回りでこの問題を真剣に考える場がないということは、多くの日本人にとっては残念ながら対岸の火事だということです。特に学校で語られないのは、本当は大きな問題です。大人がこの問題をスルーしているのを子どもたちが見ているからです。しかし、今の時代、公教育の場でこのようなセンシティブな問題を語ることは、極めて難しい事情もあるのです。

しかし、外苑ソーシャルアカデミーはタブーを廃した教育機関です。当然この問題と正面から向き合い、本質的なところを考えていきます。私たちはこの問題をしっかり考える場が、今の日本人には絶対に必要だと思っています。ご自身のお子さんにこの問題をちゃんと考えさせたい方は、お子さんと一緒にいらしてください。この問題を大事な友達と共有したい方は、ぜひそのお友達を連れてきてください。

世界で起きていることは、引き寄せて考えることが非常に重要です。人命や人権の問題ももちろん大切ですが、こうした問題を考えることは、身近な懸念に備えることにもつながるからです。たとえば台湾に中国軍の軍事侵攻が本当に起きた場合、平和だった台北の街中でどんな光景が繰り広げるられるのか、想像してみてください。また、もし台湾がなくなれば、中国にとっての最前線は日本になります。そうなってから考えるのでは遅すぎます。最悪の事態を避けるためには、逆算をしながら転換点になるところを抑えなければなりません。その意味ではウクライナもパレスチナも、他国の紛争に対して、他の国々がどのように関与するのか、大いに参考になります。遠い国の紛争だからと、どこかで他人事として考えていてはいけないのです。

私にはウクライナ、ロシア、アラブ諸国にそれぞれ個人的な友人がいますので、リアルな話がいろいろと入ってきます。まずはパレスチナ問題を正確に理解し、そこからさらに本質に踏み込んで、国際紛争や対立について考えてみませんか?

一緒に知の冒険をしていきましょう!どうぞ皆さんのアイデアを聞かせてくださいね!

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