オクスフォード大学について

皆さんこんにちは。外苑ソーシャルアカデミーの山田です。オクスフォードに入り、研究調査と勉強の生活が始まりました。大学寮で生活しながら、忙しく活動しています。

今回は研究調査に加え、GSAで進めているプロジェクトの実施を中心に、さらには私も最後の留学から12年も経過しているため、衰え始めた英語力のメンテナンスを行っています。英語の勉強は日本でもできますが、10年以上経過すると、どうしても抑揚やアクセントなどが次第に小さくなってきてしまうのです。

さて、表題のコラムのテーマですが、今回はオクスフォード大学について、少しだけ紹介したいと思います。Oxfordは日本語的な読み方をすると「オックスフォード」となり、クとフォーにアクセントがきますが、英語の発音ではオに一番大きなアクセントがきて、「クスフォード」という感じになります。言葉だけで説明するのはちょっと難しいですが。

さて、オクスフォード大学というと、東京大学のような一つの総合大学があるようにイメージされる方が多いと思いますが、実態はちょっと違います。オクスフォードには、多くの学科(department )と、39のコレッジ、7つのホール、それに研究施設や博物館、図書館などからなる数多くの学問組織があり、これらの学問施設の集合体の総称として、The University of Oxfordと呼ばれているのです。

よく知られているように、ここには世界中の知が集合しており、大学ランキングでは、ケンブリッジやハーバードなどと、常に一位の座を競っています。オクスフォードを歩いていると、世界的に有名な学者はもちろん、ときにはノーベル賞受賞者とすれ違うこともあるわけです。もちろん所属している学生たちは、日々大変な量の勉強を要求されています。例えば週に2冊の学術書を読み、それぞれレポートを書かなくてはならない。もちろん内容はオクスフォードの水準で読むに耐えるものでなければなりません。内容が悪ければ成績にマイナスがつき、何度か繰り返すと退学になってしまうような世界です。

オクスフォード大学の始まりは1100年代に大学を創設する動きが生まれたところからスタートしますが、現存するコレッジで最も古いのは1264年に創設されたマートンカレッジであり、すなわちオックスフォード大学は平安末期から鎌倉時代に誕生したということになります。ちなみにマートンコレッジには天皇陛下が、ベリオルカレッジには雅子皇后もご留学されていました。オクスフォード大学はかなり古い大学ですが、それでも現存する大学としては3番目で、最も古いのはイタリアのボローニャ大学になります。オクスフォード大学は英語圏では最古の大学となります。

当然ながら、オクスフォード大学はイギリスの首相も多く輩出し、最近ではマーガレット・サッチャー、トニー・ブレア、デイヴィッド・キャメロン、テリーザ・メイ、ボリス・ジョンソン、リズ・トラス、そして現職のリシ・スナクまで、この四十五年ほどの間に就任した10名の首相のうち、7名がオクスフォード大学出身者となっています。

オクスフォード大学は、どのコレッジもライムストーンという黄土色の石材で建造されているので、景観は非常に統一感があります。この独特の景観を利用して、ハリーポッターのホグワーツ魔法学校のロケもここでいくつも行われましたし、ホグワーツを象徴するダイニングルームのモデルとなったのも、クライストチャーチというコレッジのダイニングルームです。

また、ホグワーツの生徒と同じように、オクスフォード大学では、学生も教師も、黒いマントのような服を羽織ります。これはスコラーズガウンというもので、式典や試験のとき、またハイテーブルという食事のときに身につけるのがオクスフォード大学の伝統です。

私もこのスコラーズガウンを持っていますが、背中には沢山のひだがあり、袖の長さは肘まで、丈の長さは膝下まであります。考えてみれば今どきの服装としてはかなり奇妙な形のガウンですが、あえて形を変えずにこれを着用する伝統が守られており、街にはガウンをなびかせて颯爽と歩く学生の姿がよく見られます。とはいえ、この伝統装束も、最近は化学繊維でできているものが増えました。様々な伝統を守るオクスフォード大学も、一歩外に出れば最先端のカード社会が広がっているわけで、オクスフォードは現在と古が混ざり合った不思議な街なのです。

ちなみにオクスフォードのfordとは、ごく浅い川の流れのこと。その昔、オクスフォードは湿地帯の田舎町で、浅い川のせせらぎを牛が渡っていくような、牧歌的な場所だったのでしょう。

この川はオクスフォードを流れるテムズ川です。周辺には何本かの浅い支流が流れています。ビッグベンの前では川幅が数百メートルに及ぶテムズ川ですが、ここまで遡ってくるとこんなに細い川になってしまいます。

街の中心にあるタウンホールには小さな博物館があり、そこには昔のオクスフォードのジオラマがあって、当時の様子がよく分かります。

日本人の観光地としてはそれほど脚光を浴びていませんが、ロンドンのパディントン駅から電車で1時間ほど。ロンドンに旅行した際は、日帰りでオクスフォードを訪れてみるのもいいかもしれません。また語学留学でも人気の留学先ですので、関心のある方は一度この街で勉強してみるのもいいと思います。オクスフォードには、知る人ぞ知る素敵な場所が沢山あります。GSAの定例講座に参加していただいた方には、留学についてのアドバイスもさせていただきますし、聞いていただければ、そんなローカルな情報もお伝えします。

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