幸せな生活を送るためにはどのくらいの年収が必要なのか

こんにちは、GSA理事長の中村です。

先日、都内のとあるバーで25歳の独身の会社員と会話する機会を得ました。互いの将来設計に関する世間話をしていましたが、いつしか収入に関する話題に発展しました。そのとき彼は「いくらくらいの収入があれば幸せになれるのか、イメージがつかない」と言っていました。確かに、若手であればあるほど、将来どの程度の収入が必要になるのか具体的なイメージがつかないと思ったので、今回は幸せな生活を送るためにはいくらの年収が必要か、という点についてざっくり説明したいと思います。

お金があれば幸せになれるわけではない

本題に入る前に強調しておきたいこととして、お金が幸せの尺度になるわけではない、ということです。大金持ちでも孤独感を感じている人もいれば、貧乏なのに充実した毎日を過ごしている人もいるわけです。

経営学について学んだことがある人は聞いたことがあるかも知れませんが、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した「動機づけ・衛生理論」というモチベーション理論があります。ハーズバーグは、人に満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は異なることを示し、前者を「動機づけ要因」、後者を「衛生要因」と呼びました。動機づけ要因には、仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上や自己成長、チャレンジングな仕事などが挙げられます。 衛生要因には、会社の方針、管理方法、労働環境、作業条件(金銭・時間・身分)などが挙げられます。注目して欲しいのは金銭が「満足をもたらす要因」ではなく、「不満をもたらす要因」になっている点です。

お金が欲しいと心から思っている人からすると、これは直感に反するかも知れません。仮に毎月の給料が10万円アップしたら多くの人からすると嬉しいはずですが、それが1年後も継続するかというと、多くの場合しないものです。むしろ、生活水準が上がることで、給料が下がることに対する恐れや不満が生じることでしょう。ハーズバーグはそういった中長期的な意味でお金は不満をもたらす要因であると言っています。

ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」は職場環境に関する研究なので、人生全般に拡大解釈するのは間違っているかも知れませんが、少なくとも、お金とは何かについての示唆を得ることはできると思います。

私の周りでもお金持ちは口を揃えて「人生はお金じゃない」と言います。お金は幸せになるために必要なものではありますが、お金があれば幸せになれるわけでは決してないということを、身をもって体験してきたのです。

幸せの形も人それぞれ

今回は「幸せな生活を送るためにはいくらの年収が必要か」というテーマで記事を書いていますが、このテーマについて論じるのは非常に困難です。なぜなら、幸せの形は人それぞれだからです。

派手で華やかな日常を送る/または夢見る女性たちを指す「港区女子」という言葉があります。彼女たちからすると、億を超える一等地のタワマンに住み、高級車やヨットを所有し、海外に別荘を持つような生活が幸せの形なのかも知れません。かたや、芸術家を目指している人からすると、自分が生きているうちは作品は評価されず、貧乏な生活を強いられると思っているかも知れません。今お金を求めて作品を作るよりも、お金にはならずとも自分が美しいと思ったものを純粋に作品にして、それが後世で評価されればなによりも幸せだ、と心から思っている人もいることでしょう。これは極端な例ですが、幸せの形によって必要となるお金の量が決まるということです。

若者の幸せを願う我々としては、自分なりの「幸せの形」を見つけて欲しいと願っていますが、これは一朝一夕に見つかるものではありません。数多くの経験を経て、自然と見つけられるものなのかも知れません。

幸せな生活を送るための世帯年収

さて、ここからは話を進めるために、「幸せの形」を以下のように仮置きしてみたいと思います。

夫婦と二人の子供の4人暮らし。6000万円のマンションと300万円の車を購入。普段は家でご飯を食べるが、月に数回は外食をする。夫婦共働きで電車通勤。土日は車で買い物やレジャーに出かけ、子供二人を習い事と塾に通わせている。

まず、6000万円のマンションを購入すると、月々のローン返済額は35年ローンで17万円程度となります(管理費込み)。300万円の車を購入すると、月々のローン返済額は4万円程度となります。総務省の2021年の統計データによると、4人家族の平均的な食費はひと月あたり9万円ほどです。駐車場代やガソリン代、電車賃などの交通費としてひと月あたり4万円ほど。娯楽費用として4万円、教育費が4万円、水道光熱費が3万円、その他、日用品・衣料品・雑費などでひと月あたり5万円ほどかかります。これらを合計すると、月々50万円ほどの支出となります。

上記以外に突発的な事故や病気に備える貯蓄、数年に1回の大型レジャー旅行のための貯蓄、子供の進学に備えた貯蓄、子供の結婚に備えた貯蓄、老後のための貯蓄、などが加わります。仮に収入の30%をそのような貯蓄に回すと考えると、手取り70万円程度は必要になる計算になります。

もちろん、子供の年齢によって食費や教育費などは変わりますし、車についても300万円のローンを返済し終わったら支出がなくなりますし、住む場所によっても費用の相場は変わってくるので、上記はかなり大雑把な計算になりますが、目安として4人家族だと毎月70万円ほど(夫婦合算)の手取りがあれば安心ということが分かります。世帯年収で換算すると1000万円〜1200万ほどです。(夫婦間の収入差によって税金が変わるため幅があります。)

この数字をどう見るか

夫婦二人で1000万円〜1200万を稼げば良いので、一人当たりでいうと500万円〜600万円ということになります。ただし、内閣府男女共同参画局の調査によると、日本においては女性は男性と比べて25%ほど年収が低い傾向にあるため、男性はやや多く稼ぐ必要がありそうです。

この数字をどう見るかは人によって異なると思いますが、国税庁の「民間給与実態統計調査2021」によると日本(全国)の年収の中央値は女性334万円~男性418万円なので、高いと感じる人が半数以上であることは間違いありません。

しかし悲観的になる必要はありません。将来を切り開いていける若者であればなおさらです。大切なのは、自分にとっての幸せの形をイメージし、それを実現するのに必要な収入を明らかにし、それに向かって行動していくことです。具体的にどう行動すべきなのかについては別の記事で改めて記載したいと思いますので、ブログのチェックをお願いします!

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