8月のイベントで靖國神社の博物館である遊就館の解説ツアーを行いました。今回はその様子ついてレポートしてみます。
イベントが開催された8月3日(土)は、終戦記念日と同じく暑い日でした。
照りつける太陽と蝉しぐれの中、午後2時に大村益次郎像の前で集合。今回は大学生から社会人の方まで、二十名程の方が参加されました。なかには集合前に、靖國神社境内にある八千代食堂で、卵丼を食べてから参加された方もいらっしゃいました。この卵丼は知覧の特攻隊基地の近くにあった富屋食堂で、隊員たちにふるまわれたもの。八千代食堂では、今も知覧からタレを取り寄せており、当時の味が味わえます。少し甘めの昔ながらの味に触れ、往時に思いを馳せることができる味です。
ちなみに八千代食堂では、この卵丼と会津蕎麦のセットを推奨しています。戊辰戦争では会津の人々も旧幕府側として戦いましたが、靖國神社に彼らはお祀りされていません。しかし会津の人々も国のために戦った人々であり、参拝される人々に会津にも思いを寄せてほしいという店主の思いからこれを出しているとのことでした。
さて、参加者の皆さんが集合されたあと、簡単な流れの説明を行い、資料を配布してから遊就館に入っていきました。靖國神社といいますと、第二次大戦のことばかりがクローズアップされますが、今回は幕末から始まった日本の外交の流れと、その後ついに第二次大戦に至るまでの経緯を、大きな一連の流れとして理解することを目標に展示を見ていきます。
さらに今回はGSAイベントならではのオプションとして、靖國神社の現役の神職の方から、靖國神社とはどのような存在なのかについて、戊辰戦争以来の日本の歴史と絡めながら解説をしていただきました。
その後も膨大な展示をうまく見られるように、GSAフェローの先導で幕末の開国から、日清日露戦争、満州事変、支那事変、第二次世界大戦、そしてその後の世界での植民地開放までの流れが分かるように、展示を見ていきました。残念ながら展示室の撮影はできないので、その様子は載せられませんが、特に戦没された方々の遺書や手記の展示室では、じっくり時間をかけて回りました。戦時下での彼らの思い。覚悟。参加者の皆さんはその行間から伝わってくる様々な感情を、しっかりと受け取られたのではないでしょうか、
見学後は、場所を移してアフターミーティングを実施しました。食事をしながら意見交換をしていきます。参加者の皆さんからは貴重な意見や鋭い視点が沢山出てきました。また、疑問点や質問については、高校の日本史の先生やGSAフェローが一つ一つ答えていきました。皆さんの発見を大切にしながら、いろいろなことが明確になっていく時間になったのではないでしょうか。
歴史にはさまざまな見方があります。戦争前後の日本にも、評価されるべき点も、反省すべき点も両方存在します。GSAは特定の思想やイデオロギーに偏らず、公平かつ客観的に歴史を見ること、そしてさまざまな見方や意見を多角的な視野を得るために生かすというモットーがあります。今回も参加者の皆さまの意見はどれも貴重なだったと思います。GSAは特定の思想に引っ張り込むようなことはしません。あくまでも歴史を俯瞰して見ることを大切にしています。
80年前、100年前の日本人エリートには、今よりもはるかに教養が高く、勤勉で志が高い人も沢山いました。それでも戦争は止められませんでした。人間世界は巨大なリゾームで、人知の及ばない力が働きます。現代から過去を断罪するのは簡単ですが、それで真の学びにはなりません。
人の理性と努力だけでどうにもならないことが存在することを前提に未来を考えていくこともとても大切なことではないかと感じました。
沢山の発見と学びのある1日になったのではないでしょうか。真夏の暑い1日でしたが、この日の冷えたビールは本当に美味しかったですよ!
GSAでは、今後も真の学びとなり、人生の肥やしとなるイベントを開催して参ります。定例講座ともども、ぜひ参加してみてください。初めての方でもとても参加しやすく、毎回初めての方が新規参加されているコミュニティーです。どなたでも歓迎しますので、ぜひお気軽にご参加ください。
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