★イベントレポート 戦艦三笠とラピュタの島解説ツアーを開催

2025年1月4日(土)に開催されたGSA歴史イベント「戦艦三笠とラピュタの島解説ツアー」を開催しました。今回はその開催レポートをお伝えします。

イベントの時代背景

今回の歴史イベントのテーマは武士の子たちが作り上げた明治と近代日本。時はペリー来航によって武士の時代が終焉を迎えた時代。幕末の動乱を巻き起こした西欧列強のアジアへの侵略・植民地化は、明治新政府が誕生しても終わることはなく、日本は弱肉強食の荒波の中にいました。中でもむき出しの野望で侵略をしてくるロシア。イベントでは最後のサムライたちが大帝国ロシアと対立し、時代の逆境を乗り越えるまでの足跡を見ていきました。

アジアではほぼ全ての国が西欧の植民地となるなかで唯一自力で独立を守り、しかも世界の五大海軍に名を連ねるところまできた日本。やがて無敵艦隊と呼ばれた世界最強のロシアバルチック艦隊を、完膚なきまでに圧倒する日露戦争に勝利します。しかしそれは弱小国だった日本が貧しさに耐え忍びながら、武士たちの勤勉さと心の強さ、そして強固な使命感でやっとたどり着いたギリギリの勝利でした。庶民たちも長年重い税金に耐えて、なんとか国を強くし、侵略の手からようやく国を守ったというのが実態でした。

戦艦三笠の見学と解説

当日は10時30分に横須賀中央駅集合、の予定でしたが、京急線の火災事故で京急がストップ。急遽横須賀駅に集合場所を変更することになりました。

なんとか三笠公園の東郷平八郎さんの銅像前に全員集合。早速日露戦争で活躍した本物の戦艦「三笠」の内部をくまなく見学します。歴史教科書の執筆者でもある飯島利一先生(國學院高等学校教頭)の説明を聴きながらひとつひとつの設備を見ていきました。

巨大な主砲を始め、多数の側艦砲、司令塔、艦橋、救護室、そして艦内の司令官室や艦長室などをじっくり見ていきます。

当時の世界情勢、ロシアと日本の軍事力の差、日露戦争の全体像、手こずった旅順攻略、そして圧倒的な勝利に終わった日本海海戦の独創的な作戦の秘密などを詳しく解説。

ロシア帝国海軍バルチック艦隊との決戦となった緊迫の2日間。当時の空気感をリアルに味わえたのではないかと思います。

ラピュタの島 猿島要塞へ

三笠艦内での解説のあとは、お昼休憩。横須賀の新名所Yokosuka Port Marketで、三浦半島の海の幸やネイビーバーガー、よこすか海軍カレーなどそれぞれ好きなものを。

午後からは猿島要塞に船で上陸。乗船時間はわずか10分ほどの短い船旅ですが、とても眺めの良い気持ちいい船旅です。

猿島に上陸すると、遺跡に草木の生える異世界を歩きながら、本物の軍事要塞の合理的な構造と、丁寧かつ頑丈に作られた建築を見ていきました。

今でも綺麗に残る兵舎や弾薬庫、司令室、砲台跡、煉瓦のトンネル、そして戦後イギリス軍に破壊された施設などを解説していきました。

ひとつひとつの軍事設備には、効率的なメカニズムと、歴史の物語が眠っています。

さらに台場跡からは、目の前に広がる東京湾の広さと、湾内に浮かぶ第二海保との視覚的な距離感から、当時の東京湾の防衛を肌感覚で感じていきました。

第二海堡は人工的に作られた要塞島です。この景色を前にしながら、ペリーがどう入ってきたか、そして同時に第二次大戦時の空の防衛もイメージしていただきました。

さらに山を登っていくと、その頂上に当時の防空監視塔があります。ここからは横須賀の街がすぐ間近の足元に見渡すことができ、実際に猿島要塞が稼働した横須賀空襲のときの当時の様子がリアルに想像できたのではないかと思います。

島内は遺跡から草が生え、ラピュタな世界と言われるのもうなずける不思議な世界観でした。

解説交流会を開催

その後、横須賀中央で行われた交流会では、メイン講師である飯島利一氏から、臨場感あふれる当時の分かりやすい説明があり、皆さんで感想をシェア。飯島先生のお話から、日露戦争がその後アジア、アフリカ、中東の国々の独立に与えた影響の大きさも知ることができました。

またGSAシニアフェローの山田から、当時の朝鮮半島の位置づけと、現在のロシアにとってのウクライナの位置づけ、そして今後問題となる台湾有事の共通点について解説。過去と現在、そして未来を結ぶ視点での解説を行いました。台湾有事は私たちにとって全く他人事ではなく、そのまま日本の有事に直結する理由と、安定のための緩衝地帯の重要性をお伝えできたかと思います。また、事例をいくつか挙げながら、数百年間続いてきた「覇権を誇るヨーロッパと搾取されるグローバルサウスの力関係」が地殻変動を起こしつつある現在の世界情勢について、全く新しい視点から解説しました。

また交流会を通じて様々な質問をお受けし、ひとつずつ飯島先生を中心にお答えしていきました。皆さんから出た様々な質問や感想もとても興味深いものが多く、イベントのなかでお一人お一人、それぞれ印象に残ったシーンがあったことが伝わってきました。右も左もなく、率直な意見を交わすことができたGSAらしい交流会になったと思います。

歴史をどう学ぶか、どう生かすか

どの時代にも、そこには人々が存在し、一人ひとりが強い思いを持って生きていたはずです。戦争は多くの人の苦しみや悲しさが生まれるものであり、起きてほしくはありません。しかし一方で、今から120年前にこの国の危機を全力で乗り越えてくれた先輩方、そして80年前に命と引き換えにこの国を守ろうとした先輩方がいたから、私たちはいまの平和で安定した暮らしを享受させてもらっています。子孫のために力を尽くした先人の思いと正面から向き合うことは、とても大切なことだとGSAは考えています。それは過去の想いを受け止め、私たちが次の時代のために何をすべきかを考えることにつながるからです。GSAは歴史を振り返るだけではなく、当時の人々の思いにまでコンテンツを掘り下げ、そして未来へとつなげるところまで深めるイベントを開催できるように、毎回スタッフが突き詰めたミーティングを繰り返しています。

日本にはまだまだ埋もれている歴史が沢山あります。GSAでは今後もそれをひとつひとつ掘り起こしていきます。

今回もとても有意義で楽しい一日でした。参加者の皆様にはぜひ感想をお聞かせいただければ幸いです。ご参加、本当にありがとうございました😊

次回からの歴史イベントはこれからの企画になりますが、開催の際はぜひ参加してみてください。今回も「体感温度が5℃上がるイベントです」というお声を参加者の方からいただきました。

次のイベントは3月のスキー教室。こちらも人生を豊かにする素敵なイベントです。ぜひご参加くださいね!

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